胡蝶の夢

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zoom RSS 何もかも憂欝な夜に〈生・死、そして・・〉

<<   作成日時 : 2016/06/29 14:42   >>

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       とぶ蛍 柳の枝で一休み (漱石)

 梅雨モード全開。東京は6月に入り、早々に梅雨入り(6月5日)したと思ったら、それ以来、連日のように鬱陶しい曇り空、雨模様の日々が続いています。
 が、一方では、聞くところによると、関東の水がめのほうは、思ったほど雨量が多くはないようで、このところずっと渇水の危機に瀕しているのだそうです。
 九州では、あんなに大雨が降って被害が出ているというのに、皮肉なものですね。
 だから・・なのかどうか?今年の夏は、記録的な猛暑になるという噂もチラホラ。
 猛暑だの、熱中症だのと、なにかと生き辛い世の中になりました。


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 それにしても―
 2016年も、早や半分が過ぎようとしている中で、改めて言うのもナンなのですが―
 月日の経つのは、本当に早いものですね〜。今更ながら。
 と申しますのも、こうしてスローテンポで(月刊誌並みの)ブログを更新してまいりますと―
 必然的に日々の出来事に目を向けるようになり、「へ〜、なるほどね〜」とか、「それはないでしょ」とか、「何で?」とか・・納得したり、怒ったり、疑問に思ったり。
 つまり、自分目線でコメンテーター化しちゃっているわけですが―
 いざ1か月が経って振り返って見ると、すでにその時の「」のようなものが醒めていて、ニュースがニュースじゃなくなっていることが、まま有ります。
 ニュースって、ナマモですから、事実は事実として残るにしても、日々風化して行くものですからね。
 とは言うものの、やっぱり、あくまでも自分目線で「サテ今月は?・・」と、この一カ月を振り返ってみると―
 東京都民のハシクレとしては、なんといっても、今月21日、主役が辞職することによって幕を閉じた、一連のドタバタ劇・・要するに、舛添要一都知事<公私混同疑惑・政治資金流用疑惑>の件に尽きるでしょう。
 そうしてこの「舛添劇場」」は、先月来、テレビの報道番組などで日を追うごとにヒートアップ(加熱)し、執拗な追求糾弾、まるで集団リンチ人民裁判の様相まで呈してきちゃって、最後は公開処刑のようにさえ見えてきました。
 それしても・・ね〜。
 ついに舛添氏を辞任に追い込んだことによって、ようやく沈静化したものの、世間の人々の批判の目、身内であるはずの都議会の人々の、何と冷酷なこと。
「勧善懲悪」の正義は分かるけど、「ならば、あんたたちは(失礼)、一点の曇りもない清廉潔白の身なの?」と突っ込みたくなるような、毒のある報道の数々。 
 その上、いつのまにか「セコイ」なんていう言葉が、海外にまで飛んでっちゃって―
 一人の人間を、寄って集って袋叩きにする昨今の風潮って・・どうなのかしらね〜。
 そんなことを感じながら、「だけど許せない」と思う反面、「それにしても、世間って残酷だな〜」と、身を縮めた一連の騒動でした。
 
 で、今後は「ポスト舛添」ということになりますが―
 候補者は、まだ決まっていません。“嵐”櫻井翔クンのパパで元事務次官の(櫻井俊氏)の名前なども挙がっていますが・・ご本人は否定しているようです。
 まあ・・ね、あれだけバッシングを受けた後の知事選ですからね〜。慎重にならざるを得ないでしょう。
 いずれにしても、来月(7月14日)には都知事選挙が始まり、7月31日には、新たな都知事が誕生することになっています。 
 果たしてどなたが名乗り出ることになるのやら・・?甚(はなは)だ興味深いところです。


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 また、興味深いと言えば―
 来月7月10日に投票日が決まった<参議院選挙>の行方のほうもね。
 どうやら、今年は与党VS野党共闘ということで、こちらのほうも、白熱しつつあります。
 そうそう。新たに始まった<18歳からの選挙権適用>というのもありますしね。
 あれやこれやで、結果が待たれるところです。


 一方、<投票>と言えば、こちらもつい先日国民投票で決まった<イギリスのEUからの離脱>問題。
 結果は、大方の予想に反して「離脱」に決まっちゃったわけですが―
 イギリスのみならず、世界中が「まさか」、「まさか」と衝撃を受けているようです。
 余所(よそ)んちのことながら、日本の経済にまで関わってくるということですから、気になるところでしょう。
 二者択一を決める場合の、民主主義イコール多数決の原理。難しいところですね。




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 さて、今回は、芥川賞(2005年)作家、中村文則著の『何もかも憂綱な夜に』(集英社文庫)という本のお話です。
 タイトルに惹かれて・・ということもありますが、中村文則氏と言えば―
 今からちょうど1年ほど前、『土に中の子供たち』という作品と、『迷宮』という作品をご紹介したことがありました。
 海外でも多くの文学賞を受賞している、現代を代表する実力派の若手作家です。
 また、以前にもちょこっと触れたように、著者(中村文則)は、元々、ドストエフスキー、カミュ、カフカなどの影響を受けた作家ということで、不条理とかをテーマにした暗〜い作品が多いことでも知られています。
 なので、本書も(前回と同様)、清涼感とはほど遠い内省的な作品で、決して後味の良い小説ではありません。

施設で育った刑務官の「僕」は、夫婦を刺殺した二十歳の未決囚・山井を担当している。一週間後に迫る控訴期限が切れれば死刑が確定するが、山井はまだ語らない何かを隠している――。どこか自分に似た山井と接する中で、「僕」が抱える、自殺した友人の記憶、大切な恩師とのやりとり、自分の中の混沌が描き出される。
芥川賞作家が重大犯罪と死刑制度、生と死、そして希望と真摯に向き合った長編小説。(裏表紙・解説より)


 物語は、児童施設で育ったが刑務官になり、夫婦を刺殺し、「死刑」を目の前にした未決囚を担当することによって、殺人犯との関わり合いの中で、死刑執行人になるのを間近に控えたと、「死」と真っ向から対峙する未決囚山井との心の交流のようなものを描いた作品です。
 また、その昔、一度は死のうと思ったを救ってくれた恩師(施設長)への思い、自殺した友人への思い、生きること、死ぬこと、それらを繋ぐ何億年のアメーバーの奇跡の生き物についてなど、深く、静かに探究しています。
 
 中でも印象深いのは―
 冒頭部分に出てくるの中で付いて離れない幾つかの記憶・・ある一つの原風景です。
 それは、飼っていた赤い鳥が、ある日鳥かごの中でに飲み込まれ、大人たちがそのに熱湯をかけ、腹を裂いて、既に大部分が溶けかかっていた赤い鳥を取り出したという鮮烈な光景。
 更に古い記憶として、海になど一度も行ったことがないはずのが、砂浜で死んでいる一人のを抱え、跪(ひざま)づいている光景でした。
 しかもその時のは、に何かをしていたような気がすることから、もしかしたら「を殺したのかも・・」という漠然とした不安。周囲の大人たちからは「貴方はまだ幼かったから出来るはずがない」と否定された記憶。
 そしてこの原風景は、作者自身にも重なる事柄であると、【あとがき】にも書いています。

 たとえば物語に出てくる夢の原風景は、実際に僕が幼少の頃悩まされていたイメージそのものでもある。混乱の多い子供だった。今こうやって大人になったのを不思議に思うくらいに。(本書あとがきより抜粋

 また巻末には、ピース又吉(直樹)クンの「解説」も掲載されており、これがまた、結構読み応えがあります。
 本好きで知られ、昨年は「芥川賞」を受賞。『火花』という小説が、売れに売れまくったという又吉クン。
 彼のお勧めでもある本書については、次のように熱く書いています。

 あくまでも小説というものは複合的な要素が絡み合わさって無限の可能性を生み出す表現形式だと思うのだが、他ジャンルの芸術やエンターテイメントと比べ、小説だけが独占的に持つアドバンテージが一体どこにあるんだろうと考えた時、人間の精神内部で発生する葛藤(かっとう)や懊悩(おうのう)や混沌(こんとん)に対して、より鋭敏に緻密に繊細に迫れる点こそが小説の魅力だと自分は思っている。 中村文則さんは作品の中で執拗に人間の暗部や実体に正面から向き合い、文学と呼ばれるものの本質に真っ向から対峙し一向にひこうとしない、そんな小説家としての佇(たたず)まいに強く強く惹かれるのである。・・略・・
 生きてゐると苦しいことはある。今後も何もかも憂欝な夜はやってくるかもしれない。だが、必ず目覚めよと呼ぶ声が聞こえる朝がやって来ると信じたい。この小説は僕にとって特別な作品になった。中村文則さんの作品が読める限り生きて行こうと思う。(本書「解説」より)


 作家としての又吉クンは、アニメコミック本だけでなく、文学、特に純文学に親しむ若者たちのための、今や「けん引者」の一人かもね。
 ということで―
 本書は、人生の光と影・・特にの部分に焦点を当て、普遍的且つ必然的な本質を追究する著者(中村文則)らしい作品で・・今回もやっぱり、「ざらつき感」と、心に何かが突き刺さる小説でした。




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 ところで、つい先日、いつもDVDを貸して下さるK先生が、「もう一度観る気があれば」と、或る海外ドラマのDVDを、大量に置いて行かれました。
 何かって?ジャ〜ン、アメリカで製作され、一時は日本でも話題になったSFドラマ、『Xファイル』です。
 もう随分前にお借りして、少しずつ観るうちに、気がついたら「全部観ちゃった」という思い出深いDVDで、今回、奥さまが一冊のファイルにまとめたのだそうです
 で、懐かしさのついでに、「そう言えば、確かブログにも書いはず」と調べてみたら―
 ありました、ありました。今からもう9年も前、宇宙人とメビウスの輪と題して、かなり真面目?に書いているのを見つけました。
 私自身、多分それまで宇宙人だとかUFOだとか・・この手の類の話にはまったく無関心だったせいか・・
 てか、ぶっちゃけ「毛嫌い」していたので、カルチャーショックを受けたんでしょうね。
 いざ観てみたら、意外にも面白くて、いつの間にか嵌まってしまったことを覚えています。(作品に関しては、当時のブログを読んで頂ければ幸いです)

 そもそもこのドラマ、1993年から2002年にかけて製作され、科学では説明出来ない数々の超常現象や、オカルト的要素を秘めた事件を取りあげて―
 一人は超常現象には肯定的な男性捜査官(モルダー)と、もう一人は、超常現象には懐疑的な女性捜査官(スカリー)との対照的なコンビが、対立しながらも真っ向から立ち向かうという、ホラーサスペンスなのです。
 今思えば、当時(9年前)は、私自身がまだまだ魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界のど真ん中にいた頃で、半信半疑ながら「有り得ない世界」へと惹き込まれたものでした。
 で、久々に1話から順番に観る機会に恵まれたわけですが―
 改めて観てみると、当時とはまた違った視点で愉しむことが出来て、これがまた一興なのです。
 例えば・・ね。
 以前には気つかなかったけど、なぜかふと、主人公のモルダーが(フリーアナウンサーの)羽鳥(慎一)アナに見えてきちゃって・・
そう思い始めると、今度は逆に羽鳥アナを観るたびにモルダーを思い出したりして、ホンワカと笑いが込み上げてくるのです。
 人間の心理って、可笑しなものですね。
 あれから9年、今ではそこそこ抵抗力がつき、エイリアンだの、地球外生命体だの・・かなりグロテスクな映像でも、ちょっとやそっとでは驚かなくなりました。
 それにしても、アメリカと言う国の凄さ、底知れぬ怖さを感じるドラマです。


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 てなことで―
 鬱陶しい梅雨空もあと少し。
 見上げれば、灰色の雲間に青空がチラホラ―。
 が、めまぐるしく動く「世の営み」とは別に、我が家は相変わらず、な〜んも良いことはないし、メデタイ話もござんせん。(ふ〜)
 その上、アレもコレもソレも・・つまり何もかもが、思い通りにはなりませぬが・・(チッ!)
 衰退街道まっしぐらの我が身としては、せめてポジティブに、ポジティブに、「何とかなるさ精神」で生きるっきゃありません。
 だから・・でしょうか、パワーの幻影だけでも補給すべく――
 最近は、とみに生命力に満ちた「上り坂の風景」にばかり惹かれるようになり、様々な形を通して(辛うじて)平衡感覚を保っているのです。
 例えば・・ね、このところ頭角を現してきたイケメンの短距離選手、ケンブリッジ・飛鳥クンとか、若鮎のようにフレッシュな若手俳優、菅田将暉(すだまさき)クンのパワーの「おこぼれ」とかね。



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 未来、生命の息吹、若さ、野望、バイタリティー、情熱・・魅力があります。(人間の必須条件ね)
 辿っても、辿っても、永遠に辿り着かない「メビウスの輪」は、依然として私の中で無常観徒労感をもたらすばかりですが―。




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             雨が降る

       女たちの声が雨のように降っている
       思い出の中にさえも
       死んでしまっているかのように

          お前たちも降っている
          わが人生の不思議な出会い
          雨の滴よ

        盛り上がった雲が
        馬のいななくような音をたて
        街中を音で包みこむ

          雨が降るか聞いててごらん
          後悔とあざけりが
          昔の音楽を鳴らしている間に

        お前を上下に支える絆が
        落ちてくるのを
        聞いてごらん
            (アポリネール・カリグラムより)




中村文則の本の記事

宇宙人とメビウスの輪






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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
小学生の頃に円盤ブームのようなものがあり、雑誌などにも良く取り上げられていました。
なのでUFOはお馴染み?の存在ですから「Xファイル」は見ていました。漠然とですが、ケネディ暗殺の裏側に居るかも知れない、未知の権力者たちを感じながら…。
ダダさん
2016/07/01 06:51
ダダさん、こんにちは。
そうですね〜。UFOや宇宙人ブームって、日本では周期的にやって来ますよね。
昔は単なる作り話だと思っていましたが、最近は、もしかしたらアメリカでは、すでに多くの宇宙の実態のようなものを掴んでいるような気がしてなりません。
そう思って「Xファイル」を観ると、また違ったロマンとリアリティーを感じます。
夢子
2016/07/01 10:33

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