胡蝶の夢

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zoom RSS 徒然の記〈リアル未満の“秋”の色〉

<<   作成日時 : 2016/10/30 15:41   >>

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      夢深き 女に猫が背伸びせり (山頭火)

 たけなわ―。
 銀杏、紅葉、彼岸花・・色づくの草花と、落葉舞い散る季節になりました。
 気がつけば、今年も残すところあと2カ月。冬眠準備のも、餌を求めてあちこちで出没。聞くところによると、近年は、どんぐり木の実が不足気味で、止むに止まれず人里へ降りて来るのだそうです。
 自然と動物、人間との共存は、年々深刻化して行きますね。
 また、ばかりではありません。東京は夏以来、野菜の値段が高騰していて、日々のサラダにさえ、多大な影響を及ぼしています。(一般庶民としてはね)
 なんでも高値の原因は、夏の長雨だとか、台風だとか、日照不足だとか・・要するにアレやコレやの誘因が絡んで、「風が吹けば桶屋が・・」的な循環作用なのだそうですが―
 ならずとも、こちらは冬眠しない人間だからこその、日々の食に関わる深刻な問題です。

 それにしても―
 今年の<ノーベル文学賞>は、アメリカのミュージシャン<ボブ・ディラン氏(75歳)が受賞>ってニュース、驚きましたね〜。
 受賞が決まった瞬間、世界のあちこちで「え?え?え?文学賞って・・?」と、半信半疑の人々の声や映像が流れていましたが―
 彼(ボブ・ディラン)が受賞したことを受けて、世界の文壇に「衝撃が走った」とまで言われており、いまだに賛否両論が飛び交っているそうです。
 そう言えば、「ボブ・ディラン」の名前は、村上春樹の作品にも度々登場し、代表作の「風に吹かれて♪」などは、今や世界が知る名曲です。オバマ大統領は、以前から彼を「歌手」としてより「詩人」として、高く評価していたそうですが―
 考えてみれば、そもそも<ノーベル音楽賞>ってジャンルは、無かったんですね。
 従って、最初に訊いた時は、「おや?」と、どこか違和感みたいなものがありましたが(勿論、音楽に無縁のワタクシごときには、まるで分かりませんが)―
 同時に、「文学のジャンルが広がったの?」という疑問と、ならば、「新たに<ノーベル音楽賞>を設けたら良いのに」という、単純な疑問が生じたものでした。
 ところが・・です。
 その後、当のご本人は一度も公の場所に出る事もなく、口を閉ざしたまま、音沙汰無しだったようですが―
 ついに2〜3日前、沈黙を破って、「素晴らしいことだ」とコメントし、スエーデンでの<授賞式>(12月10日)にも行く意思のあることを示したそうです。
 メデタシ、メデタシです。

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 一方、国内では、震度6弱が観測された<鳥取県中部地震>(10月21日)のニュースも、ドキッとさせられました。
 建物の崩壊のみならず、多くの農作物の被害が伝えられましたが、多くの死者や怪我人、被害を出さずに済んだのが、不幸中の幸いだったかもしれませんね。
 それにつけても・・
「どこそこで地震!」と聞くたびに、思い出すのは、5年前<3・11東日本大震災>のこと。
 死者15,000人余り。行方不明者2,500人以上(現在でも)という、史上稀(まれ)にみる巨大地震だったわけですが―
 東京でも、これまでに無い激震に見舞われ、一世一代の恐怖を体験したものでした。
 ついこの間のことのように思い出されますが―
 今改めて思うのは、地震に伴なう津波の怖さ。いかにしても抗えない黒い波の脅威に尽きる、と痛感しました。


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 また、新しいところでは、お茶目な暴言王、フィリピン<ドゥテルテ大統領訪日>(10月25日)ってニュースもありましたっけ。
 伝え聞くところによると、就任以来、「「麻薬撲滅」を掲げて強硬政策を進めるなど、何かとお騒がせの大統領―
 アメリカを罵(ののし)ったり、決別宣言をしたり、訪日直前には、中国を訪中し、習近平氏と会談する際、ポケットに手を突っ込んだり、ガムを噛むなどの非礼を重ね、「日本ではどうなんだろう?」とヒヤヒヤしていましたが―
 どうやら何事もなく、ひたすら「親日家」をアピールして帰国して行きました。
「悪太郎」のイメージと、強面(こわもて)なのに、どこか人を食ったような表情がユーモラスで、可愛らしく見えちゃうのが不思議な大統領です。
 もしかしたら、実は、何もかも計算され尽くした「策略家」だったりしてね。


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 策略家と言えば・・
 波乱含みの<アメリカ合衆国の大統領選挙>も、いよいよ来月(11月8日)に迫りましたね。
 どことなくドゥテルテ氏と重なる異端児、共和党のドナルド・トランプ氏と、初の女性候補、民主党のヒラリー・クリントン 氏との一騎打ちということで、アメリカは、かつてないほど盛り上がっているようですが・・
 果たしてどちらが勝利するか!興味深いところです。

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 ちょっと面白い本を読みました。
 今期(2016年下期)、第155回芥川賞を受賞したばかりの、『コンビニ人間』(村田沙耶香著・文芸春秋)という小説です。
 平凡な日常生活の中で、一定の規律と人間関係の鬱陶しさを感じつつも、いつしかその猥雑感が心地よく感じるようになり、自分がそれらの“部品”の一部になってしまうという・・
 まあ、言ってみれば、現代人らしい、習慣性に埋没することへの「安心感」みたいなものを描いた、ブラックユーモアを秘めた作品です。

   コンビニこそが、私を世界の正常な部品にしてくれる―――。
 
 36歳未婚女性、古倉恵子。
 大学卒業後も就職せず、コンビニのバイト生活18年目。これまで彼氏なし。
 日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、
 清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ」の掛け声が、
 毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。
 ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、
 そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが・・・。


「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作(帯封より)


 ね?今どきの女性の在り方を、どことなく倦怠感を滲ませつつ、ウイットに富んだ展開で起・承・転・結を描いていて、面白い作品です。
 そもそもが、男なんてまるで関心の無い女性と、女なんてまるで関心のない男性が・・
 つまり、恋人でもな〜んでもない男女が、互いを正当化するため同棲生活をするようになり、周囲の人たちからは、ようやく「普通の人間」として受け容れられるようになったけれど・・けれど・・けれど・・
 というもので、スイスイ読んでしまった後には、重いテーマを突きつけられたような、不思議な重量感がある作品でした。
 なぜならば、現代社会では、このような男女は「普通の領域」の善男善女にすぎないから―。
 また、ストーリー展開にスピード感があり、その軽快なドス黒さに思わず笑っちゃうところが随所にあります。
 圧巻なのは―
 二人が新たな生活を模索するために、就職先を探そうと外出し、途中で「コンビニ」に寄っちゃった事が仇になり・・と、まるで「ギャグ」「コント」のような最後のシーン。
 主人公は、大学卒業後も就職することもなく、「コンビニ」でバイト生活に明け暮れる36歳の未婚女性。しかも18年間も・・。
 そんな主人公の生き方を、周囲は否定し、「正常の世界」へと引き込もうとしますが・・
 彼女が最終的にたどり着いたのは、やっぱり「コンビニ」でした。

 因みに、作者の村田沙耶香氏は、主人公と等身大の女性で―
 これまでにも数々の文学賞を受賞していながら、自身も、いまだに(芥川賞受賞時点でも)「コンビニ」でバイトをしているという、ユニークな作家さんです。
 

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 先ほど「今どきの女性の在り方」とは申しましたが―
 考えてみれば、実は、私自身も「子育て」がひと段落してから(40代前半)、某生保会社の事務部門で「パートタイマー」として18年間勤めた経験があります。
 なので、主人公に対してまったく違和感はありませんでした。
 毎朝の通勤時の義務感も、ラッシュアワーの喧騒も、無機質な職場内の雑音も、様々絡み合った人間関係も・・気がつけば、それらすべてが自らの一部になり、生きている「証」として、部品のように機能していたものでした。
 人間の本質なんて、時代が変っても、そうそう変るものじゃござんせん・・よね。
 平易な文体で読み易いので、普段本を読まない人にもお勧めの一冊です。


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 そして、映像のコーナーとしては―
 これまでにも何度か書いていますが、最近は、テレビの専門チャンネルで「一挙放送」なるものをド・ド〜ンと流すようになりました。
 なので、時間を持て余し気味の時は、日が暮れるまでボケ〜っと観まくることがあります。
 特に休日の午後などね。
 例えば、これまでにも『猫侍』とか、『男女七人秋・夏物語』とか、『探偵物語』とか、『吉田類の酒場放浪記』とか・・少々食傷気味になるほど観ているわけですが―
 とにかく、コレが不思議な誘引力を持っていて、癒し感があるんですよね。 
 で、つい先日も、以前一度このコーナーで取りあげたことのある『孤独のグルメ』という番組を延々と流していたので、娘も私も、な〜んとなく見入ってしまい、気がついたら、外はすでに真っ暗でした。
 因みに、この番組、食品会社とコラボして「商品」を食する漫画をドラマ化して、その後シリーズ化したというグルメ番組なのです。
 と同時に、主人公の井之頭五郎を演じる俳優「松重 豊」氏の出世作みたいなドラマで―
 シチュエーションとしては、個人で雑貨輸入商を営んでいる井之頭五郎が、仕事の合間に立ち寄った店で食事をするシーンを描いただけの、ゆる〜い番組なのです。
 従って、働き盛りの中年男が、独りで食事を満喫しちゃう様子と、心の動きを淡々と語っているだけで、ドラマティックなストーリーは極力省いているというのが特徴なのです。
 しかも、彼が立ち寄る店と言えば、一流のレストランやお洒落な料理店などではなく、あくまでも(地方に出張以外は)東京近郊に実在する大衆食堂ばかりというのがミソなのです。
 程好いチュエーションと、淡々とした間合い。ひたすら“食”を楽しむ井之頭五郎の食べっぷりを見ているだけで胃袋が刺激され、思わず「おいしそ〜」と見入ってしまう番組なのです。
 ドキュメントのようでもあり、ドラマのようでもあり・・その緩(ゆる)さ加減に癒されるんでしょうね。


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 一方、こちらは“芸術の秋”にふさわしい?一本。
 娘が録画していた『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(2013年・米・ジム・ジャームッシュ監督・脚本)という映画です。
 ずばり「ヴァンパイア」・・つまり「吸血鬼」の恋愛映画なのですが―
 愛の在り方、生きること、究極の種族存続を描いた、耽美でアーティスティックな作品です。
 ストーリーとしては―
「ゾンビ」と呼んでいる人間たちの中で、何世紀にもわたり恋人同士として生きてきたヴァンパイアの夫婦、クールで知的な孤高のロック・ミュージシャンアダム(トム・ヒドルストン)と、その妻イヴ(ティルダ・スウィントン)。二人は長らく別居状態でしたが、久々に再会し、愛を確かめ合います。
 が、突如現われたイヴの妹エヴァによって、アダムを支えてくれた音楽関係の青年が殺され、その血を飲んでしまったことを知って激怒します。
 アダムエヴァを追いだしてしまいますが―
 その青年を失った事によって、アダムは唯一の収入源であった音楽活動が出来なくなり、二人の所持する血液が底をついてしまい、飢餓状態になり・・
ある老ヴァンパイアから血液を供給して貰おうとモロッコへ行きますが・・探しあぐねた末、時すでに遅し。二人は空腹のあまり・・
 というもので、ストーリーや、吸血鬼の嫌悪感とは関係なく、アダムイヴの美しさが、一つの芸術作品として溶け合っているのです。
 血液を口に含み、飲み込んだ瞬間の恍惚感。至福の表情。
 ヴァンパイアであるのに美しい、まさに「耽美」以外のナニモノでもありません。
 時代背景は現代。何世紀にも亘って生き続けるヴァンパイアたち。
 生き残る為には、人間の血を吸う以外ありません。
 吸血鬼というおどろおどろしい「生物」を描いているにも関わらず、ストーリーは奇をてらわず、音楽と映像とがあいまって、余韻を感じました。
 ちょっと気持ち悪いけれど、限りなくアーティスティックな映画でした。


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 そんなこんなで―
 “秋”深し、深し、深しで早や11月―。
 アレやコレや、思い出が詰まった10月も、暑さ・寒さに紛れて通り過ぎて行きました。
 幽閉の身、先日、なにげにテレビを見ていたら、「自宅に居ながらにして観光名所を訪れた気分になれる」として、ある専用メガネ(アプリね)を装着すると、まるでその場に居るような臨場感のある映像を楽しむことが出来る、と紹介していました。
 例えば、今の時期ならば・・と、京都奈良鎌倉“秋”の風景を流していたので、思わず見入ってしまいましたが―
 すべてが、直(じか)に触れられるほどリアルで、美しい映像でした。
 このような「ヴァーチャルとリアルが交差する世界」のことを、「ヴァーチャル以上、リアル未満」って言うんですって―。
 初めて訊きました。(負けるな!一茶ここにあり)
 それにしても、スゴイ時代になったものです。

 さて、2005年に始めた当ブログも、この10月(6日)で、無事11年を迎えました。
 当初は、気負って始めたものの、この体たらく。 曲がりなりにも(曲がりっぱなしですが)一昔(ひとむかし)が過ぎました。
  早いものです。しみじみ・・
 
「光陰矢の如し」とは言うけれど―
 どうやら今年も、“光”の矢のほうは、見えませんでした。




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        風に吹かれて (ボブ・ディラン)

   どれほどの道を歩かねばならぬのか
   男と呼ばれるために
   どれほど鳩は飛び続けねばならぬのか
   砂の上で安らげるために
   どれほどの弾がうたれねばならぬのか
   殺戮をやめさせるために
   その答えは 風に吹かれて
   誰にもつかめない

   どれほど悠久の世紀が流れるのか
   山が海となるには
   どれほど人は生きねばならぬのか
   ほんとに自由になれるために
   どれほど首をかしげねばならぬのか
   何もみてないというために
   その答えは 風に吹かれて
   誰にもつかめない

   どれほど人は見上げねばならぬのか
   ほんとの空をみるために
   どれほど多くの耳を持たねばならぬのか
   他人の叫びを聞けるために
   どれほど多くの人が死なねばならぬのか
   死が無益だと知るために
   その答えは 風に吹かれて
   誰にもつかめない
        (壺齋散人による歌詞の日本語訳)



        Blowin’ In The Wind : Bob Dylan
   How many roads must a man walk down
   Before you call him a man?
   Yes, ‘n’ how many seas must a white dove sail
   Before she sleeps in the sand?
   Yes, ‘n’ how many times must the cannon balls fly
   Before they’re forever banned?
   The answer, my friend, is blowin’ in the wind,
   The answer is blowin’ in the wind.

   How many years can a mountain exist
   Before it’s washed to the sea?
   Yes, ‘n’ how many years can some people exist
   Before they’re allowed to be free?
   Yes, ‘n’ how many times can a man turn his head,
   Pretending he just doesn’t see?
   The answer, my friend, is blowin’ in the wind,
   The answer is blowin’ in the wind.

   How many times must a man look up
   Before he can see the sky?
   Yes, ‘n’ how many ears must one man have
   Before he can hear people cry?
   Yes, ‘n’ how many deaths will it take till he knows
   That too many people have died?
   The answer, my friend, is blowin’ in the wind,
   The answer is blowin’ in the wind 






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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
こちらのブログも、早や、11年ですか!!
時間は有るようで、無いようで…。
気が付くと、いつも、ずっと向こうに去っています。当方も15年が経ちました。少し息切れ気味です。
ダダさん
2016/11/08 17:57
ダダさん、こんにちは。
時間が有るようで無いようで・・
本当ですよね〜。
それにしても、ダダさんは15年ですか
努力、努力の賜物ですね。
私などとは濃度が違うので、比較すら出来ませんが・・

いつも自然の写真に癒されています。
これからも続けてくださいますように。
夢子
2016/11/09 12:03
「濃度」がある様に見えるのは、当方の守備範囲が極限られているからでしょう。
重箱の隅をつついている様なものですから。
ダダさん
2016/11/11 09:49
ダダさん、こんにちは。
学術的(専門的)なダダさんのブログです。
重箱の隅なのかどうかさえ分からないのですから、お恥ずかしい限りです。
古代史って、知れば知るほど奥深いんでしょうね。

いつも敬服しつつ拝見しています。
夢子
2016/11/12 09:46
古代史は総じて信憑性のある資料が限られています。だから「想像」で書き進めることが出来る部分が多々あるのです。写楽と同じですね。
ダダさん
2016/11/12 17:41
ダダさん、こんにちは。
そうだったんですか。
だから奥深いんでしょうね。
史実と想像の産物・・
“古代史”ってロマンがあるんですね。

夢子
2016/11/13 13:24

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