胡蝶の夢

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zoom RSS 徒然の記〈春の嵐と“梅”一輪〉

<<   作成日時 : 2017/02/28 12:04   >>

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        この道しかない 春の雪ふる (山頭火)

 向春の候。「寒い」、「温かい」と言っているうちに、今年もホンワカと、“春”の香りがして参りました。よくしたものです。
 そして東京でも、春一番(2月17日)が吹いたと思ったら、その後、立て続けに春二番、春三番と、モーレツな勢いで春の嵐が吹き荒れて行きました。
 で、ふと想います。 
 最近は、自然の変化さえも「ほどほど」ってことを知らず、想定外の自然災害なんてのが多々ありますからね。油断も隙もありゃしないのです。
 何事も「ほどほど」が一番。穏やかに、たおやかに、季節が巡ってくれれば良いのに・・ね。

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 とはいうもの、激動2月!
 注目されていた安倍首相と、トランプ大統領による初の<日米首脳会談>(2月10日)も、60年ぶりの<ゴルフ外交>(2月11日)も、友好関係を保ったまま無事終わり、ホッとした思ったら(関係ないけど)――

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 直後に<北朝鮮によるミサイル発射>などとという暴挙が――
 かと思えば、アメリカの国内外では、トランプ氏の言動がなにかと波紋を呼び、主要の閣僚なかなかも決まらないとか、支持率も低迷気味だとか、そのドタバタぶりを、興味深く傍観していました。 
 そんな中で、こ、今度は、な、なんと、マレーシアの空港(クアラルンプール)で、北朝鮮金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄<金正男(キム・ジョンナム)氏の暗殺>(2月13日)という衝撃的なニュースが飛び込んできました。
 世界はビックリ仰天!揺れに揺れまくっています。
 しかも・・です。今回は、その暗殺シーンが、まるで「スパイ映画」のワンシーンのように劇的で、世界中に配信されたのですから、その衝撃度も、ハンパじゃありません。
 その後のマレーシア警察によると、正男(ジョンナム)氏の遺体からは、猛毒の神経剤VXが検出されたということですが――
 恐ろしいのは、その殺し方。実行犯と見られる二人の女性(25歳のインドネシア人と、28歳のベトナム人)は、あっと言う間に45歳の精悍なターゲットに近づき、たった数秒で、あらかじめ素手に塗った液体を顔にこすりつけて逃走したというのですから、神業の手際良さです。
 二人はその後、(マレーシア警察に)捕まったようですが・・
 猛毒にも関わらず、なぜ彼女たちは無事だったのか?今も謎だらけの事件です。

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 それにしても・・つい最近までは、韓国では<朴大統領をめぐるスキャンダル>で大騒ぎをしていましたが――
 今度は、お隣りの北朝鮮による<国家ぐるみの犯罪>ということですから、今更ながら「南北朝鮮」の違い、「北朝鮮」という国の恐ろしさを、目の当たりにしました。
 で、ふと想うわけです。(よく想っちゃうのです)
 情報化時代の現代、人は、好むと好まざるとに関わらず、常に監視カメラに囲まれて暮らしています。
 群衆の中にいても、一見「安全」のように思われますが、実は無防備で、常に危険に晒されていると。
 情報過多ゆえの連帯感の希薄化。孤立主義。ふ〜〜。

 一方、我が「東京」といえば――
 昨年の夏、彗星の如く誕生した小池百合子都知事率いる新体制。以来、いわゆる<小池劇場>と称する出し物が、日替わりメニューのプログラムで上演されています。
 例えば・・<築地市場の豊洲への移転問題>とか、<東京オリンピックの会場問題>とか・・そうそう、最近では、石原慎太郎元知事まで招致して、<百条委員会>なるものを設置したとかね。メディア共々、日々エネルギッシュに活動しています。
 考えてみたら、「東京都の内輪もめ」から始まって、今では、毎週の「定例会」まで全国ネットで放映しちゃうんですから、以前とは想像もつかない変化です。
 突如として現れた「東京都」という巨大な怪物!
 ・・なんだか不思議な気がします。
 そんなこんなで・・あれやこれやで・・新たに導入された<プレミアム・フライデー>まで、今月も、色々なことがありました。


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 さて、今回は2月と言う事もあり、気分的には「コンパクトに読める本を」と探していたところ、ふと目についたのが、西加奈子著の『舞台』(講談社文庫)という本でした。
 テヘラン生まれ、カイロ、大阪育ちという、ちょっと変わった経歴の直木賞作家・・てか、少々ぶっ飛んだ西加奈子氏の中編小説です。
 因みに、著者の作品といえば、当ブログでも一年半ほど前、『ふくわらい』(朝日文庫)という作品について掲載したことがありました。
 今回の作品は、前回ほどの刺激性はありませんが――
 敢えて無謀な旅を続ける主人公(葉太)の屈折した心の闇、冒険心みたいなものと同化することが出来ました。

      自分を「演じる」こともある。
       そんな自分も愛してほしい

     
       自意識過剰な青年の
       馬鹿馬鹿しくも切ない
       魂のドラマ
! 
 

葉太は、やっと気づいた。バッグが盗まれた。そして葉太は、叫ぶことも、走ることも出来ずに、ただ座っているのだった。最終的に葉太が選んだことは、笑うことだった。そのときの葉太は、自分史上最も強大な恥の意識に、がんじがらめにされていた。 

彷徨(さまよ)いもがき、青年が最後に得たものは。
笑いの先に現れる人生の真実に胸を打たれる傑作長編!
                  (以上帯封より)


太宰治「人間失格」を愛する29歳の葉太。
初めての海外、ガイドブックを丸暗記してニューヨーク旅行に臨むが、初日の盗難で無一文になる。間抜けと哀れまれることに耐えられず、あくまで平然と振る舞おうとしたことで、旅は一日4ドルの極限生活に――。
命がけで「自分」を獲得してゆく青年の格闘が胸を打つ傑作長編。(裏表紙解説より)
 

 舞台はニューヨーク。物語の主人公葉太は、「生きているだけで恥ずかしい」と思っているような、自意識過剰の青年です。
 イケメンで、傍目から見れば何もかもに恵まれていて、太宰治「人間失格」に心酔する29歳の葉太は、ある目的のために生まれて初めてニューヨークを訪れ、意気揚々とマンハッタンの街を闊歩するのでしたが――
 着いた早々、不覚にも盗難に遭い、何もかも失ってしまいます。
 で、こんな時は、本来ならば即警察に届けるか、領事館に駆け込むかするものですが、自意識や虚栄心、それにも増して羞恥心が強い葉太は、誰かに助けを求めることが出来ぬまま、ポケットに入っていた僅かばかりのお金で、一日4ドルの極貧観光をするハメになります。
 鬱々としながらも、どこかで予期せぬ逆境に嬉々として立ち向かい、マンハッタンの街をを彷徨い歩く 葉太 の一週間の滞在記です。
 亡くなった父親は、著名な作家でした。そして彼もまた葉太と同じように、常に自過剰で、生活スタイルも優雅。そんな外見を気にする(おしゃれ)父親に対して、葉太は子供の頃から「しゃらくさい」と軽蔑し続けていたものでした。
 が、反面では、そんな父親の遺産に頼って生きている自分自身の不甲斐なさに、ジレンマを感じていました。
 葉太の行動は、いかにも馬鹿馬鹿しく、滑稽に思われますが、そもそも葉太がこのような性格になった理由の一つには、父親にあるとも言えるのでした。
 なぜならば、我が子に太宰治「人間失格」の主人公「葉蔵」と一字違いの「葉太」と付けたのは・・
 つまり、常に「舞台」の上で、「何かを演じている」感覚は、葉太のみならず、実は父親もそうだった事が分かります。(似たもの親子ネ)
 
 てか、人の一生なんて、所詮は「人生の舞台」」の上で「演じて終わる」ようなものですものね。
 誰もが多かれ少なかれ、葉太のような感覚につきまとわれるものです。
 因みに、前述した葉太の「ある目的」とは、好きな作家の本を<セントラルパーク>で思う存分のんびりと読んでみたいということでしたが――
 オチとして面白かったのは、葉太が読もうとしていた小説は、実は、ある作家の『舞台』というタイトルの本だったことが最後に分かり、著者らしいウイットを感じました。
 
 誰もが共有する「自意識」という痛み。怯(ひる)み。罪悪感・・
 若々しい感性が心地よい一冊でした。


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 で、こちらは、1964年当時の奴隷制度廃止直後のアメリカ南部が舞台。まだまだ人種差別が色濃く残っていた田舎町での物語、『リリィ、はちみつ色の秘密』(2008年・アメリカ合衆国)という映画です。
 なにげなくボケ〜っとに観ていているうちに、気がついたら「のめり込んでしまったという、感動的で、心温まる作品です。
 郊外の桃農園で父親と、黒人の家政婦ロザリンと三人で暮らす、14歳の少女リリィの、心の成長を描いたものです。
 幼少期、誤(あや)まって母親を殺してしまったトラウマを持つ、作家志望のリリィが、ある夏の日、父親と喧嘩して、ロザリンと二人で家を出ます。
 選挙権の登録に行ったロザリンが、町で白人の嫌がらせに遭い、袋叩きにされて警察沙汰になる事件が起きたのですが―
 そのロザリンを助けようとしなかった父親を許せなかったからです。
 リリィは拘束されているロザリンを病院から救出し、二人で当てもなく放浪するうちに、偶然“黒い聖母”というを作る養蜂所に辿りつきます。
 そしてそこには、黒人の三姉妹が住んでいて、二人を温かく迎い入れてくれて、共同生活するようになるのですが――
 知的で愛情深い一家の大黒柱、長女のオーガストは、その昔、リリィの家で家政婦をしていたことを知ります。
 健やかに、鮮やかに、誇り高く暮らす三姉妹と暮らすうちに、リリィの世界観も徐々に広がって行き――
 やがて、4歳の時、クローゼットの中で見ていたリリィ自身の記憶と、母親父親との真の立ち位置、誤まって母親を殺した記憶の真実が明らかになります。
 比較的新しい映画にも関わらず、アンティーク感あふれる映像で、何よりもハッピーエンドで終わるのが嬉しい作品です。
「完全な愛など無いのよ」
 長女のオーガストが、いみじくも言った言葉が、心に響きます。

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 一方、こちらは日本の映画。黒澤明監督の 『夢』(1990年・日・米合作)という作品です。
「世界のクロサワ」の後期の作品。全盛期のパワーは感じられませんが、巨匠ならではの審美眼と、老成した世界観溢れる作品群です。
 オムニバス形式の8本の短編から成り、自身の幼少期の幻影や妄想、青年期、壮年期の不安や葛藤、更には、老年期に辿りついた達観的無常観など、巨匠らしい、独特の映像美で描いています。
 また、それぞれの作品の前には、≪こんな夢を見た≫という漱石『夢十夜』と同じ書き出しのテロップが流れたりして、漱石ファンにワクワク感を与えてくれたりもします。
 詳しい中身は省略しますが、ごく、ごくザックリとまとめてみますれば――

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 第一話 日照り雨

 江戸時代を思わせる屋敷の門前で、幼い少年が、突然の通り雨に遭います。
 少年の母親は、「こんな日は、きっと“キツネの嫁入り”があるから、外に出たらいけない」と注意しますが、母親の目を盗んで外に出ると、林の中からキツネの花嫁行列がやってきます。
 怖くなって自宅に逃げ帰ってみると、母親からは拒絶され、行き場を失くした少年が恐怖と共に見たものは、雨上がりの丘の上の、美しいでした。

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 第二話 桃畑

 雛祭り。少年の私が、遊びに来た姉の友人たちに雛団子を運びますが、6人いたずなのに5人しかいません。
 不思議に思いながらも、勘違いだと笑われ逃げ出すと、裏口に同じ年ごろの少女が立っています。
 逃げる少女を追って桃畑に来てみると、そこには、大勢の雛人形たちが、雛壇のように並んでいて、口々に桃の木を切ってしまったことを責め立てて、もう桃の花を見られなくなったと嘆きます。
 殺伐とした切り株だらけの段々畑と、雛人形が踊るシーンは圧巻です

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 第三話 雪あらし

 大学生の私は、三人の山仲間と、吹雪の雪山を三日間歩き続けたあげく、遭難して死にかけています。
 朦朧とする意識の中で、ふいに美しい雪女が現れ、耳元で「雪は暖かい、氷は熱い」と囁かれ、危ういところで正気を取り戻し、助かったたというお話。

 第四話 トンネル

 敗戦後、戦地から復員した陸軍将校の私が、かつての部下達の遺族の家を訪ね歩く最中、然る人気のない山道のトンネルに差し掛かると、暗闇の中から獰猛な犬が走り出てきて、威嚇してきます。
 追われるように駆け込んだトンネルの暗闇で出会ったのは、戦死した英霊たち姿と、規則正しく行進する小隊の亡霊でした。

 第五話 鴉

 中年になった画家の私が、ゴッホの絵画と一体化した風景の中で、ゴッホ本人と遭遇し、絵画について、自然について会話します。
 両耳を白い包帯で覆ったゴッホが、「耳が描けなくて切り捨てた」と苦悩し、自作の絵画の中に登場するところなどは、なんともユニークで、ショパンの前奏曲をバッグに、画面全体が絵画の様に鮮やかです。
 ひときわ、ひときわ美しい映像です。


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 第六話 赤富士

 大音響と、赤い色に染まった空の下。大勢の人々が逃げ惑っています。何があったのかは分からないけれど、私の足元では、疲れ切った女性と、子供が泣いています。
 そして、ふと見上げると、富士山が炎に包まれ、赤く染まっています。
 居合わせた男の話によると、どうやら「原子力発電所の6基が爆発したらしい」と言い、男は、謝罪の言葉を残して海に身を投げ・・というもので、明らかに「原発反対」を意図した作品です。

 第七話 鬼哭

 こちらも原発がらみの短編。
 モヤが立ちこめる溶岩だらけの荒野を歩いている私の後ろから、誰かがついてきます。
 見ると、ボロボロの衣服をまとった一本角の鬼が現れ、今や世界は放射能汚染で荒野と化し、かつての動植物や人間は、おぞましい姿に変わり果てたと言います。
 苦しみながら、死ぬことも出来ない奇形の鬼が、放射能の恐怖を語り、忠告します。

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 第八話 水車のある村

 旅先の、美しい川が流れる水車村で一人の老人に出会い、色々の話を聞いているうちに、実はこれから村で、100歳で死んだ老婆の葬式があると言います。
 そうしてその葬式とは、村人がこぞって喜び祝い、人生を最後まで全うしたことを祝福する儀式だと言います。
 楽隊を組み、棺を取り囲んで賑やかに行進する村人たちの笑顔。「メデタシ、メデタシ」と言いたくなるような映像ですが・・どこか「やぶれかぶれ」感があり、悲壮感さえ漂う作品です。

 以上、どの短編も、ビジュアル的に拘る黒澤監督らしい映像を楽しめますが――
 どこかで「アナログ」の限界?のようなものを感じながら、もし今の時代に(黒澤氏が)存命ならば、「果たしてどんな作品を・・」などと、ふと想いを巡らせていました。
 それにしても、最近の日本映画の劣化感・・残念ながら―。

 そうそう、といえば・・
 つい先日、アメリカNASAが、ついに<地球人に似た生命体の存在が可能な、7つの惑星を発見>と発表しました。(2月22日) 
 ホラね、やっぱりあの『Xファイル』のドラマ;も、「あながち作り話ではないのかも・・」などと、まだ見ぬ宇宙人の姿を想像したりしています。
 怖いけど、限りな〜く“夢”があるじゃござんせんか。

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 そうこうしているうちに、2月も終わり・・。
 大きな声では言えないけれど、色々な意味で悩ましい月でした。
 特に2月25日は・・ね。(チッ!)
 冒頭でも申しましようにた、世界は、日本は、世の中は、近年なぜか慌ただしさを増し、激しく変化し続けています。
 ついでにアメリカでも、昨日(2月27日)恒例の<アカデミー賞>の授賞式ので、受賞作品を「間違えて発表しちゃった」とか、あのきらびやかなステージで、受賞者たちのトランプ政権を批判するスピーチが目立ったとか・・
 これまでにないドタバタ。異常事態だったそうです。
 笑劇のハプニング続出。何事も、一寸先は闇ですね。

 そうして、このワタクシメと言えば――
       落花流水・・
 流れ、流され・・流され、流れ・・行きつく先が見当たりましぇん。
 
 とはいえ、明日からは弥生3月
 “春モード”も間近です。



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 『ふくわらい』;









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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
明日は雛祭り。
時の過ぎ去る「速さ」が毎年増して行きます。
ダダさん
2017/03/02 18:17
ダダさん、こんにちは。
本当に・・。実感です。
若い頃無かった時間のスピード感・・
これって一体何なのでしょうね。
つい先日、お正月を迎えたと思ったら・・
もう雛祭り。
東京は、朝から抜けるような青空が広がっています。
夢子
2017/03/03 12:32

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