胡蝶の夢

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zoom RSS 徒然の記〈“騎士団長殺し”と七転び八起き〉

<<   作成日時 : 2017/05/30 11:36   >>

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       おもひでは 暑き河原の石をふみ (山頭火)

 新緑の候。
 きらめく青葉と、色とりどりの花々
 日増しに暖かさを増す初夏陽光が、早くもレースのカーテンの隙間を縫って、淡い眩しさを運んでくるようになりました。
 季節はからモードへ。今年もまた猛暑猛暑の季節が到来するんですね。
 どんなに無為に生きていても、季節と歳月だけは、無情に巡ってくるものです。

 さて、前回は、訳あって(超ショートバージョンに)はしょっちゃいましたが――
 あれから一カ月。当然にことながら、世の中的には、国内外の動きも、世界情勢も、決して「はしょる」ことなく変化し続けていました。
 繰り返される<北朝鮮のミサイル実験>の脅威。
<イギリス中部マンチェスターで自爆テロ>(5月23日)。
 中国での<日本人6人拘束事件>(5月22日)。
<韓国・朴大統領の弾劾裁判&訴追>の初公判(5月23日)。
 更には、毎日のように聞えて来る、世界のあちこちで頻発している<テロ事件>の数々・・
 そんな中で、今年はイタリアシチリア島で、世界のトップが集まる<G7・主要国首脳会議>が開催されました。(5月25日)
 そしてG7と言えば、昨年は日本でも<伊勢志摩サミット>として、大いに盛り上がりましたが――
 今年は、あの有名な映画、『ゴッドファーザー』の舞台になったところだそうでした。 
 あれからほぼ一年が経つんですね〜。早いものです。
 そうそう、アメリカでは、トランプ大統領が、なにやら<ロシアゲート事件>にもなりかねないと言われている不穏な噂まであったりして・・
 国内では、<森友学園問題>転じて、今度は、突如浮上した<憲法改正問題>やら、学校法人<加計学園>をめぐる前文部科学事務次官の証言問題やら・・
 相変わらず、野党と政府の駆け引きが、連日、面白おかしく(失礼)報道されています。
 世の中って、次から次と色々な事が起きて、怖いながらも刺激的ですね。



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 余談になりますが――
 てか、実は、ワタクシメにとっての4月〜5月の初めは、余談どころか本気も本気、マジで人生の再起を?かけた”危機モード”からの脱出期でした。
 特に、ゴールデン・ウィーク前後の2週間は・・ね。
 と申しますのも、元々、左半身麻痺の身。日頃から(特に小心なので)歩く時は気を付けてはいたのですが――
 4月の或る土曜日、ちょっとした不注意から、室内で「転んでしまった」のです。
 幸いにして、大きな怪我(骨折などの)には至らず、捻挫程度で済んだらしいのですが・・
 しばらくは、ほんの僅かでも左足に重心がかかると、飛び上がるほどの痛みを感じ、自力立ちは勿論の事、前後左右、一歩も動けない状態で・・(チッ!)24時間自縛拘束?されたままだったのです。
 だって・・ね。たった数メートル先のトイレにも、玄関にも、目の前の窓際までさえも、「永遠の遠さ」に感じたんですよ。
 絶望と悪夢の日々。脳裏を横切るのは、「再起不能」の文字と、その末路でした。
 今だから話せますが、前回のブログは、そんな中での更新でした。
 以来、湿布薬や足首を固定するサポーター、娘の協力や、リハビリの先生のアドバイスなどのお陰で、今ではすっかり(ほぼネ)元に戻りましたが――
 不安と焦燥、自分自身との戦いの日々。
 今思えば、何事も不屈の精神?と、気力の積み重ね、プライドが「回復力」のバネになったのかもしれません。
 多分・・ね―。


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 ところで、前回にもちょこっと触れましたように――
 例の村上春樹『騎士団長殺し』第一部第二部(新潮社)、読みました。読み終わりましたよ。
 本自体のスケール(規模?)としては、ホラ、あの『IQ84』(2009年〜2010年発刊)に匹敵する書き下ろし本格長編ということで、バリバリの「村上ワールド」炸裂の小説です。
 なので、一見すると読み易いので、ルンルン気分で読み始めますが――
 重いです。(重量もね)分厚いです。其処此処に隠されている闇の深さも、その混沌ぶりも、さすが村上文学、ハンパじゃないのです。
 ごくザックリと紹介しますと、第一部としては――

      『騎士団長殺し』第1部 顕れるイデア編
      旋回する物語
     そして変装する言葉


 その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降った、谷の外側はだいたい晴れていた・・・・それは孤独で静謐な日々であるはずだった。騎士団長が顕(あらわ)れるまでは。(本書・帯封より)

 また、第二部のほうは――

      『騎士団長殺し』 第2部 遷ろうメタファー編
      渇望する幻想
     そして反転する眺望


 ね?なんとなくカオスでしょ?ミステリアスでしょ?
 その上、どんなにコツコツ隅々まで(マジにね)読んでも、やっぱり村上春樹村上春樹たる由縁で・・読み進むほどに独特の世界に誘導されて行き――
 哀しいかな、凡庸なる(ワタクシメのような)能力と理解力では、果たして作者が何を訴えようとしているのか、実際のところ、説明することは出来ましぇ〜ん。

 ごくごくザックリとしたあらすじとしては――

 主人公の「私」は、36歳の名も無い肖像画家。
 ある日、何の前触れもなく、妻から「離婚」の申し入れがあり、衝撃を受けた「私」は、自宅を離れ、友人(雨宮政彦)の父親でもある著名な日本画家(雨宮具彦)のアトリエを借りて暮らすことになります。
 友人によると、当の日本画家(雨宮具彦)は92歳。現在は、認知症のため会話もままならなぬ状態で、施設に入院しているということです。
 そんなある日、「私」は、アトリエの屋根裏で雨宮氏の描いた『騎士団長殺し』というタイトルの奇妙な日本画を発見し、以来、不思議な現象が次々と起こるようになります。
 そしてそのことによって、現在肖像画の依頼を受けている依頼主(免色 渉)と近しくなり、あることから、二人はアトリエ裏の雑木林にある小さな祠と塚、塚の下には、石で積まれた空間(石室)があり、そこには仏具と思われる「鈴」が収められていたことを発見します。
 夜ごと地底から鳴り響く「鈴」の音と、その「鈴」を解放したことによって、ある日「私」の目の前に、『騎士団長殺し』の絵画の中の主人公、「騎士団長」」の(イデア)姿をして顕(あらわ)れ、何かにつけて「私」に話しかけ、忠告するようになります。
 イデア・・・つまり、時空を超越した絶対的な存在。感覚的世界観の概念。(要するに、「目に見えるもの」のみが「真実」ということ)
 また、後半から「顔なが」として登場するメタファーー・・・つまり、ある物事を、他の物事で伝える「比喩」の一部で、隠喩、暗喩とも言う哲学用語だそうですが――
 作品全体から受ける印象としては、どうやら、<傷ついた人の心の痛みより、傷つけた人の心の痛み>をテーマにした小説のようです。

 まるで中世ヨーロッパののファンタジーのような冒頭部分のみならず、突然飛鳥時代の衣装を纏った身長60センチほどの「騎士団長」が登場し、かと思えば、「南京大虐殺事件」「ナチス暗殺未遂事件」」、ぐっと身近な「東日本大震災」がらみの話題など、とにかく時空を超えた舞台背景になってもいるのも、特異でしょうか。
 と同時に、都会派の村上春樹の作品が、今回は、どことなく「土」の匂いがするところなどは、今までとは少々違うところかもね。
 第二部の導入部分辺り)からは、益々SFチックな世界、大人のファンタジーへと引きずり込まれて行き――
 いつもながらの(村上春樹らしい)巧みなレトリック、リズム感のある文章を楽しむことが出来ました。




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                    【登場人物】

 
 本書主人公。36歳。無名の肖像画家。人の顔の特徴を一目で捉え、脳裏に焼き付けてデッサンやクロッキーを描く才能を持っている。離婚話しから家を出て、東北・北海道を一ヶ月半放浪した挙句、友達の父で日本画家の「雨田具彦」のアトリエのある、神奈川県郊外の山中で暮らすようになります。収入源としては、肖像画を描く一方、小田原市内の絵画教室で指導しています。(この辺は、いたって現実的な要素でもありますが)

 免色 渉(めんしき わたる)
 謎の人物。主人公に自身の肖像画制作を依頼。54歳。独身。「私」が暮らすアトリエから、谷を隔てた向かい側の山にある豪邸に三年ほど前から住んでおり、白髪で、長身。かつてIT関係の会社を経営していたが、インサイダー取引と脱税で検挙され、435日間拘留されて無罪釈放となった過去がある。現在は自宅でインターネットを介した株式と為替による利ザヤで収益を得ている。
 主人公の「私」が暮らすアトリエ裏の石積みの塚を撤去し、石室を掘り出す手助けをし、「雨田具彦」に関わる様々な調査をした。
 ある事実から、彼は以前から「秋川まりえ」が我が子ではないかとの疑念を持っており、「私」に彼女の肖像画を描くように依頼。

  柚(ゆず) 
 ユズが愛称の主人公の妻。33歳。建築事務所に勤務の二級建築士。
 主人公の「私」とは6年間の結婚生活を経て、現在別の男と付き合い妊娠中。

 小径 (こみち)
 コミが愛称の主人公の妹。主人公より三つ年下。心臓に先天的疾患があり、12歳でこの世を去った。

 雨田政彦(あまだ まさひこ)
 主人公の美大時代からの友人。38歳。独身。広告代理店に勤務するグラフィックデザイナー。
 主人公の「私」に父親のアトリエを貸し、絵画教室の仕事を世話するなど。

 雨田具彦(あまだ ともひこ)
 政彦の父で、高名な日本画家。92歳。認知症になり、養護施設に入院中。『騎士団長殺し』というオペラ『ドン・ジョパンニ』をモチーフにした未発表の日本画を描く。戦前は洋画家だったが、ウィーン留学中にナチス暗殺未遂事件に関与し、日本へ送還され、戦後日本画家へと転身。

 雨田継彦(あまだ つぐひこ
 具彦の三つ年下の弟で、政彦の叔父。ピアニストを目指す音大の学生だったが、二十歳の時に中国に徴兵。『南京大虐殺』に加担したことによって、復員後に自殺。

 秋川まりえ(あきかわ まりえ)
 13歳の中学生。「私」が教える絵画教室の生徒の一人で、幼い頃母親がスズメバチに刺されて亡くなり、現在は、アトリエと尾根続きの山にある家に叔母と二人で住んでいる。

 秋川笙子(あきかわ しょうこ)
 まりえの叔母。独身。以前は東京で秘書の仕事をしていたが、現在はまりえと暮らしている。後に免色と親密な関係になる。

 秋川義信(あきかわ よしのぶ)
 まりえの父親。小田原一帯の大地主だった実家を継承し、市内に複数の物件を所有する不動産事業家。

 絵画教室の女生徒
「私」のセックスフレンド。人妻で二人の娘がいる。不倫関係にあるが、何かにつけて「免色渉」に関する噂話を伝える。

 イデア
『騎士団長殺し』の日本画に描かれた<騎士団長>の姿を形体化して顕れ、「私に対し「諸君」と呼んだり、「〜ではあらない」など、独特なしゃべり方をする。新潮60センチほどの「私」のしか見えない存在。

 メタファー
『騎士団長殺し』に描かれた絵の一部で、主人公が「顔なが」と呼ぶ姿で顕れる身長70センチから80センチほどの存在。

 白いスバル・フォレスターの男
「私」が東北地方を放浪中、宮城県の海岸沿いの、小さな町のファミリーレストランで遭遇した白いスバル・フォレスターに乗っていた中年男性。実在するか否かは不明な存在。(もしかして、自分自身に巣食っているもう一つの概念の一部?)

 そうそう、つい先日、某テレビで、≪題名のない音楽会≫と言う番組で『村上春樹文学の音楽会』と題したコンサートを放映していましたっけ。
 で、本書『騎士団長殺し』に出て来るモーツアルト『ドンジョヴァンニ序曲』R・シュトラウス『ばらの騎士』G・ロッシーニ『泥棒かささぎ』などの曲(をオーケストラで演奏していました。
 3曲ともオペラのための曲だそうですが――
 そう言えば、村上文学って、どれも音楽とは切っても切れない関連性を秘めていますよね。 この辺りも、世界観が広がるところでしょうか。物語は、ほぼハッピーエンド。
 作家<村上春樹>。68歳。まだまだ若々しい感性で、(世代を超えて)読者を魅了させてくれます。


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 一方、久々の映像のほうは?――
 先ほどの『騎士団長殺し』について、「時空を超えた舞台背景」と書きましたが、先日観た『ある日どこかで』(1980年・米)いう映画も、時空を超えて、「時間旅行の旅」に出かける青年の、美しい恋のお話でした。
 主人公は、脚本家としてデビューしたばかりの青年(リチャード・コリアー)。脚本の執筆に行き詰まり、恋人とも別れ、あてのない旅に出かけますが・・
 ふと立ち寄ったグランドホテルの資料室で、一人の美しい女優(エリーズ・マッケナ)の写真を見つけ、何故か目が離せなくなり、呆然とそこに立ち竦んでしまいます。
 その写真は、1912年に撮影されたもので、青年は、いつしかタイムスリップして若き日の彼女と知り合い、二人はお互いに恋に落ちてしまいます。
 やがて、時は残酷にも二人を引き離し、青年は1972年の現代に戻され・・ふらっと立ち寄ったグランドホテルには、かつての女優が老婦人になって彼に「帰ってきてね」と懇願し、金時計を渡しますが・・
 時空を超えた男女の出会い。運命。めぐり合い。永遠の恋・・切なくも、やがて訪れる真実の別れ・・
 SF映画らしくないリアルティーがあり、いつまでも心に残る美しいラブストーリーでした。


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 そんなこんなで――
 冒頭でも申しましたように、この2カ月間(特に直後の2週間)は、ほとんど無我夢中で、テンヤワンヤの試練の日々でした。
 当初は、絶体絶命の危機感の真っ只中で、ベッドに座ったまま、朝出かけて行く娘を見送り、用も無いのに終日まったく同じ姿勢でパソコンに向かい、何も出来ぬまま、じっと同じ姿勢で娘の帰宅を待つ毎日。
 つまり、少しでも横にでもなったら、何かが崩れてしまいそうな妄想と、自らの「美学」への拘り・・
 今思えば、バカみたいな話ですが、勝手なプレッシャーを課して、怯(おび)えながら過ごしていたのです。
 まさに泣き笑いの悲喜劇。そんな状態の中で、娘が「読む?」と買ってきてくれたのが、『騎士団長殺し』の本でした。
 だからでしょうか。本書は、特別な思い入れがあるような気がします。、



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 そうこうしているうちに、はいつの間にか逃げて行きました。
 吹く風にも、初夏の香りが漂うようになり・・今年もそろそろ梅雨の走り?
 うっとうしい 梅雨空も、それはそれで趣(おもむき)があるものですが――
 本番は、もうすぐです。
 
 で、今更ではありますすが――
 人生に蹴躓(けつまづ)き、室内でも蹴躓(けつまづ)き・・それでもなお「天」を仰ぎ、にも負けず、にも負けず・・気まぐれなパソコンの嫌がらせにも負けず・・ 
 生きている限り、様々な試練と闘わねばなりませぬ。
 疲れる試練じゃござんせんか。いやホントの話―。(ふ〜〜)

 



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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
今年も、暑い暑い夏がやってきます。
かつては、あのギラギラとした陽の光を好ましく感じたものでしたが‥。
「美学」を貫きましょう。いついつまでも。
ダダさん
2017/05/30 19:31
ダダさん、こんにちは。
ありがとうございます。
本当ですよね。
思えば、「ギラギラとした陽の光」こそが、青春時代そのものだったような気がしますが・・
気がつけば、何もかも焼き尽くされて、消え去ってしまいました。
そして「美学」を貫くのも、年々難しくなってきました。
負けられません。
夢子
2017/05/31 13:34

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